【書評】うつからの脱出 プチ認知療法で「自信回復作戦」 / うつ病を自分で治す実践ノート / こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳 /〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

うつ病になった方への推薦図書の紹介です。

うつ病になった人に推薦する本について書きます。この文章の続きを読もうとされている方は、うつ病の真っ只中にいる方だと思いますので、その方たちに資するものがあれば、と思い、書いていきます。

そして、私もうつ病になり、ブログを書くことができるところまで回復したので、私自身のためにも書いておきます。


ただ、通院している方は、この記事を読むよりも、医者の指示に従ってください。意欲が無い時に何かをやろうとしても、返って焦燥感が出るだけです。それはこれを読んでいるうつ真っ只中の方には、理解して頂けると思います。読んで頭に入って来なければ、休んでください。個人的にはひたすら寝るのがオススメです。


表題の4つの本、結論から言うと、

オススメ(★が良)

  • ★★★ うつからの脱出 プチ認知療法で「自信回復作戦」
  • ★★☆ うつ病を自分で治す実践ノート
  • ★☆☆ こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳
  • ☆☆☆ いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法〈増補改訂 第2版〉

です。

 

私の症状についての説明。

オススメの本について述べるために私の病状について、少し触れておきます。

わたしの場合は、一番ひどい時には以下の様な症状で、だいたい1週間ぐらい続きました。

  • 焦りがあるが意欲が無いので行動に移せない。そしてそれを後悔する日々。
    休職している期間、「この休みは人生に2度は無いせっかくの長期休暇だし、何か自分のために行動しないと時間が無駄になってしまう」という焦りが募るものの、やる気が出ないので1日じゅう、何もしない。結果的にその日の終わりに、「今日1日も何もしなかった。時間だけが過ぎて行った。なんてダメな人間なんだろう」という強い後悔を覚え、明日こそは頑張ろう」と眠りにつくが、翌日も同じ状態になり、これを繰り返していくうちに自信が消失していく。

    私の場合は、英語を勉強しようか、とかSEなのでITに関する技術習得に時間を投資しようかとか、こんな状態にならないようにこれからは健康が大事だから、禁煙しようとか、ダイエットのため運動しようとか。でも、やろうとするのだが、これらの計画をちっとも前に進める意欲がない。

    そして、意欲の無い原因は何なんだと探ろうとし、「これは本当に自分のやりたいことなのか、やらなきゃならないことだと思ってしまうからできない(やらない)のではないか」「やりたくなくてもやらなきゃならない仕事を今までもやってきたのに、折角休みがあるにも関わらず、何でやらないんだろう。今やらないと時間が無駄になってしまう」と焦る。でも結局行動に移せない。

  • 自分を周りから消し去ろうとする

    うつ病になって休職してしまった。うつ病は再発率が50%とか、最低でも1年経たないと治らないとか、インターネッツに書いてあるし、今後、復職したあとのことを考えると、会社での評価も落ちるし、出世もできないし、給与も処遇も悪化するし、今までのように暮らせなくなる。

    だから、妻子に向かって「お父さんなんかいない方が君たち幸せに暮らせるから、離婚しようか」と言う。あと、仏門に入ろうかと思うようになる。

  • 不安な気持ちが広がって、何も手につかなくなる時が来る。

    とにかく不安な感情が頭を渦巻き、何かをする気が起きない。解決したいので、不安の原因を探そうとして何が不安なのかを考えるが、考えられない。例えていうと、どれから手をつけていいのかわからないタスクが降ってきて、手を付けられずに締め切りだけが迫ってくる感覚。

また、多少回復しても以下のような状態が続きます。これは、1ヶ月程度続きました。

  • いままでやり過ごせたようなことでもイライラする。

    些細な家族の言葉にイライラする。ちょっと買い物行ってくるから子どもの面倒見といて、と妻に言われる。「俺だって辛い状態なのに子どもの面倒なんか見れない。何でわかってくれないのか(と心のなかで思うが口に出しては言えない。自分の気持ちを正直に言えないのがまたツライ)」

  • やらなきゃならないことを考えるだけで、億劫になる。胃が痛くなる。

    私の場合は、休職中に転職活動をしていたのですが、面接前や、不採用の通知が来るたびに、自分では「大丈夫」と心に言い聞かせているものの、吐き気を催しました。

オススメする理由、なぜ良いのか。

  1. ★★★ うつからの脱出 プチ認知療法で「自信回復作戦」

    この本には、「認知療法を実施するとしても、そのタイミングが重要で、ひどい状態のときには、休養しなさい。」とはっきり書いてあります。

    私の場合のように、上記のようにうつの症状がひどい時は、早く回復したいと強く思いながらも実際の行動に移せない状態が続きます。この本を手にしたときは、そういった状態の時でした。幾つか同時にうつ病治療の本を読みましたが、そういうことが書いてあるのはこの本だけです。

    具体的にな処方である、プチ認知療法は、手間が掛からず、実践するのにハードルが低いもので、気分を落ち着かせる作用がありました。

    記載されている処方は、うつ病でないときにも効果があるものだ、と同著者の他の本にも記載されている方法なので、今後も使えるツールだと思います。

    ちなみにAmazon書評で「この本、プチ認知療法ってかいてあるけど、これは認知療法ではありません」と否定的に書いてありますが、著者もそんなことは分かっており的外れな評価ですのでその書評は無視して結構です。

  2. ★★☆ うつ病を自分で治す実践ノート
  3. ★☆☆ こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

    この2冊は、いわゆる認知療法を自分で実践するためのワークブックです。結論から言うと、認知療法を初めてみようか、という方にとってはいろいろ本が出ていますので自分にしっくり来るもの、来ないものがあるので、買う前に図書館で借りてしっくり来るものを探すのがオススメします。

    うつ病を自分で治す実践ノート」に記載されている事例・エピソードが、自分の境遇に似ており、かなり、しっくりきました。「こころが晴れるノート」は、事例よりも、ワーク方法の説明が充実していますので、事例よりも実践を重視されたい方にオススメです。

  4. ☆☆☆ いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法〈増補改訂 第2版〉

    この本はAmazonの書評にもある通り、ものすごいページ数で元気なときでも読む気が起きないぐらいの厚さで、患者が読むと言うよりは医者や臨床心理士がよむような類のものなので、うつ病の状態にあるときは、読まないほうがいいです。というより、読めないと思います。

 

ただし、図書館に行く気も起きない、もしくは行くのが億劫であれば、行かずに、読まずに、休みましょう。治したい、という気持ちが焦りに繋がり、結果的に時間を無駄にします。

 うつ病になってみて、重要だと思ったことは、「気分が行動を支配しているんだなぁ」ということです。これは、元気になっても心に留めておきたいと思います。